【完】音にならない“好き”をキミだけに。
*
「赤点なし!!これで遊べる~!」
教室中に響いた敦弥の叫び声。
男子はそれに乗っかり大声をあげる一方、女子は完全に引き顔だ。
担任は面倒くさそうに敦弥を注意した。
「うるさいって思ってるそこの先生!これから冬休みですよ?クリスマスにお正月、楽しいことしかこれから先ねーよ!なのにテンションあがらないとかおっさんだな」
「お前なあ……」
「まあ、先生は独り身だし可哀想なクリスマスを過ごすんだろうね」
調子に乗ってる敦弥のことを、俺は誰よりもうざいと思う。
それは担任も例外じゃないようで、すごい怖い顔で敦弥を睨んでいた。
もちろんテンションがあがってる敦弥はそのことに気が付いてなくて
「柴乃ちゃんとクリスマスにデートするんだけど、マジで楽しみなんだよな~」
余計なことばかり口にする。
「柴乃ちゃんとデートする前に、お前は俺の手伝いをしようか。な?」
「……は?」
悪魔のような表情をした担任が敦弥を見ていた。
……ご愁傷さまです。