【完】音にならない“好き”をキミだけに。
たまに真壁から鋭い視線を感じて怖いんだよな。
今日の帰りに誘う。よし、決めた。
敦弥と担任のやり取りが終わった後、
「じゃあ、敦弥以外帰っていいぞ。
敦弥はこれから終業式の日のことについて説明するから残ってろ」
そう言った担任はやっぱり悪魔のような表情を浮かべていた。
俺は敦弥からの視線を無視して、佐倉のもとへ向かう。
「佐倉、一緒に帰れる?」
「うん、帰れるよ!」
「じゃあ帰ろう」
今年は、あと何回こうやって佐倉と一緒に帰れるかな……。
来年も俺は佐倉の隣にいることが出来るのかな……。
「加賀谷くん?帰らないの?」
「あ…、ごめん。帰ろう」
……いれるといいな。
これからも佐倉の隣に俺が。