【完】音にならない“好き”をキミだけに。


たまに真壁から鋭い視線を感じて怖いんだよな。


今日の帰りに誘う。よし、決めた。


敦弥と担任のやり取りが終わった後、


「じゃあ、敦弥以外帰っていいぞ。
敦弥はこれから終業式の日のことについて説明するから残ってろ」


そう言った担任はやっぱり悪魔のような表情を浮かべていた。


俺は敦弥からの視線を無視して、佐倉のもとへ向かう。


「佐倉、一緒に帰れる?」

「うん、帰れるよ!」

「じゃあ帰ろう」

今年は、あと何回こうやって佐倉と一緒に帰れるかな……。

来年も俺は佐倉の隣にいることが出来るのかな……。


「加賀谷くん?帰らないの?」

「あ…、ごめん。帰ろう」


……いれるといいな。


これからも佐倉の隣に俺が。


< 60 / 235 >

この作品をシェア

pagetop