【完】音にならない“好き”をキミだけに。


「なぁ、佐倉」


帰り道———


俺の左側を歩く佐倉に声をかけた。


「……」

だけど、彼女からの返事はない。


「…佐倉?」


トントンと遠慮気味に肩を叩くと、はっとした後すぐにいつも通りの笑顔に戻った。


「ごめん、ぼーっとしちゃった」

「大丈夫?」

佐倉がぼーっとするなんて、結構珍しいことだと思う。


「うん、大丈夫!ごめんね」

「大丈夫ならいいけど…。
あのさ、クリスマス予定ある?学校終わったあと俺の家来ない?」

「…か、加賀谷くんの家!?」

え…、俺そんな驚かせるようなこと言った?


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