【完】音にならない“好き”をキミだけに。
「これから近所のスーパーに寄って、材料買って帰ろうか。何食べたい?」
教室を出て、廊下を歩きながら佐倉に問いた。
……敦弥の叫び声は無視します。
「クリスマスといえば……やっぱりチキン!!
……って、女子力ない?」
大きな声で“チキン”と叫んだことを恥ずかしく思ったのか、手で顔を覆った佐倉。
廊下には下校中の生徒がまだ何人かいて、驚いたように佐倉を見ていた。
その人達の視線に気付いたのか、顔を隠してても分かるほど佐倉の顔は真っ赤に染まっていた。
可愛い……。
「いいと思うよ、チキン。
俺もクリスマスといえばチキンのイメージあったし」
「だよね!」
「でも大声でチキンはやめような」
からかい半分で佐倉に言うと
「次からは小さい声で言います」
シュンとした声で言った。
…ほんとうに可愛い。