【完】音にならない“好き”をキミだけに。





「あー、面白かった!
途中泣くかと思ったよ……」


「泣いてたけどね、佐倉」

映画の途中、隣に座る佐倉から鼻をすする音が聞こえてきて、泣いてるんだと分かった。


……そんなところも、可愛いところの一つですね。

「……感動したんだよ。加賀谷くん、ケロッとして見てるんだもん。泣かない方がおかしいよ!」


怒りながら、でも深く考えるように佐倉は話す。

その訳は、俺達が見た映画の内容が少し悲しいものだったから。


付き合って1年半になる恋人。

その彼女に病気が発覚したのだ。


彼女は彼氏と別れることを決意し、2人は悲しい別れを告げる。


「……彼女はどんな気持ちだったんだろうね」


「彼氏のことが大好きだったんだよ。そうじゃなきゃ、あんな選択出来ないでしょ」


「そっか」


「でもさ、彼氏は話して欲しかったと思うよ。最後、彼女が亡くなってから病気だったことを知っただろ?俺は、佐倉が1人で苦しんでたことを知らされないのは辛い……」



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