【完】音にならない“好き”をキミだけに。
004*抱きしめて伝えます。
#1
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新年が明けて少し経った頃——
「今日も佐倉休みなの?」
佐倉がよく学校を休むようになった。
心配して本人に連絡をするも返ってくる返事は“大丈夫”の三文字だけ。
……絶対、大丈夫じゃないと思うんだよね。
「まーちゃん何か知らないの?」
「知らないわよ」
自分の席で一人で座って予習をしてる真壁に聞いたら冷たい返事が返ってきた。
真壁が冷たいのは元からだけど、ちょっと悲しい。
なんて、真壁に言ったら「きもちわるっ」と、引かれた顔をして言われるに決まってるから俺は何も言いません。
「楓生のことであんたが知らなくて、わたしが知ってることなんてないでしょ」
「まーちゃん…」
真壁の言ってくれた言葉に感動して、少しだけ泣きそうになった。