【完】音にならない“好き”をキミだけに。
005*届かなかった想い。
#1
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次の日、朝からどこか胸の奥がギュッとしてて、なんでか分からないけど嫌な胸騒ぎがした。
「真白、佐倉来てるな」
教室に着いた俺のところにすぐ来る敦弥。
「うん」
カバンから教科書を出して、机の中にしまいながら適当に相槌をうつ。
「行かねーの?」
「行かない」
というより、行けない。
昨日はあれから佐倉と連絡をとっていない。
だから、結局泣いた理由も分からないままだ。
「喧嘩でもしたのか?」
「ううん、してない」
喧嘩ならよかったのに。
謝って、謝って、なんなら土下座だってする。
でも、そうじゃないから。