【完】音にならない“好き”をキミだけに。
泣かした。
俺が佐倉を泣かしたんだ。
「怖いんだ」
「え?」
不安げに呟いた俺の小さな言葉は、幸いにも敦弥には届かなかった。
弱気になってる俺、ダセーな。
「ちょっと寝てくる」
敦弥からも、佐倉からも逃げるように俺は保健室へ向かった。
逃げたからって佐倉との関係が直るわけじゃないのに。
*
「加賀谷」
保健室の先生から留守番を頼まれた俺。
先生のお気に入りクッションを胸の前で抱えこんでソファーに座っていた俺のところにやってきたのは真壁だった。
「サボっちゃダメじゃん」
「その言葉そのままあんたに返すわ」
「だよね」
ごめん、真壁は俺とこんな話をするためにここにいるんじゃないよな。