【完】音にならない“好き”をキミだけに。


泣かした。


俺が佐倉を泣かしたんだ。


「怖いんだ」

「え?」

不安げに呟いた俺の小さな言葉は、幸いにも敦弥には届かなかった。

弱気になってる俺、ダセーな。

「ちょっと寝てくる」

敦弥からも、佐倉からも逃げるように俺は保健室へ向かった。


逃げたからって佐倉との関係が直るわけじゃないのに。




「加賀谷」

保健室の先生から留守番を頼まれた俺。

先生のお気に入りクッションを胸の前で抱えこんでソファーに座っていた俺のところにやってきたのは真壁だった。


「サボっちゃダメじゃん」

「その言葉そのままあんたに返すわ」

「だよね」

ごめん、真壁は俺とこんな話をするためにここにいるんじゃないよな。


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