【完】音にならない“好き”をキミだけに。


「助けてあげて、楓生を」

佐倉が隠してる事を真壁は知っていて、俺が知りたいことを知っているのに教えてくれないのは、佐倉のためだろうな。


「本当は言えばいいって思う。全部言えば、あんたは全力で楓生を好きでいると思うから。でも、わたしが言っちゃダメなんだよね」


「うん。ごめん。俺がちゃんと聞く。
だから、真壁はいつもみたいに見守ってて」


誰よりも俺たち2人のことを見守ってくれてるのは、間違いなく真壁だ。


「最初、2人が付き合った時は正直ありえないって思った。加賀谷のいい所なんてないに等しいくせに、楓生と付き合うんだから。すぐ別れるって思った」


「失礼かよ…」


「でも、違った。楓生は加賀谷と付き合ってよかったって今なら思うよ」


「俺を泣かしにかかってる?」


真壁はバカだ。本当にバカ。


「頑張れ、加賀谷」


「ありがとう、まーちゃん」


真壁は最後に「うざい」っていつもの感じに戻って保健室から出て行った。


< 93 / 235 >

この作品をシェア

pagetop