【完】音にならない“好き”をキミだけに。
「助けてあげて、楓生を」
佐倉が隠してる事を真壁は知っていて、俺が知りたいことを知っているのに教えてくれないのは、佐倉のためだろうな。
「本当は言えばいいって思う。全部言えば、あんたは全力で楓生を好きでいると思うから。でも、わたしが言っちゃダメなんだよね」
「うん。ごめん。俺がちゃんと聞く。
だから、真壁はいつもみたいに見守ってて」
誰よりも俺たち2人のことを見守ってくれてるのは、間違いなく真壁だ。
「最初、2人が付き合った時は正直ありえないって思った。加賀谷のいい所なんてないに等しいくせに、楓生と付き合うんだから。すぐ別れるって思った」
「失礼かよ…」
「でも、違った。楓生は加賀谷と付き合ってよかったって今なら思うよ」
「俺を泣かしにかかってる?」
真壁はバカだ。本当にバカ。
「頑張れ、加賀谷」
「ありがとう、まーちゃん」
真壁は最後に「うざい」っていつもの感じに戻って保健室から出て行った。