【完】音にならない“好き”をキミだけに。
*
「佐倉、一緒に帰ろう」
「うん。帰ろっか」
授業が終わって、帰宅時間になった。
俺は佐倉の元へ駆けつけ、一緒に帰る約束を結ぶ。
『帰らない』
と、言われなかったことにホッとした自分に笑った。
「佐倉、ちょっといいか?」
教室を2人並んで出ようとしたところで、担任が佐倉を呼び止める。
「ごめん、加賀谷くん。やっぱり先に帰っててもらってもいいかな?」
「いいよ、待ってる。教室にいるから」
「ありがとう」
うん、やっぱり佐倉の笑顔は可愛い。
教室からどんどん出ていくクラスメイト達。
とうとう最後の一人のなってしまった。
教室の窓からグランドが見える。
野球部やサッカー部が練習してるのが見えて、同じクラスの人もいてなんかすごいなって思った。
一生懸命声を出して、走って、汗流して、かっこいい。