【完】音にならない“好き”をキミだけに。
俺は勉強も、運動も人並み。
彼らみたいに必死になって取り組んでることはないし、夢中になれることもまだ見つけれていない。
そのことを恥ずかしいと思ったことがあった。
でも、佐倉が言ってくれたんだ。
夏の暑い日、
放課後の教室で佐倉が日誌を書いてて、向かい合って窓際に座ってた。
しっかりと俺の目を見て、笑顔を見せながら
『焦らなくても、恥ずかしいことだと思わなくても大丈夫だよ。ゆっくり自分のペースで見つけていこう。あとね、見つけた時隣にいるのがわたしだと嬉しいな』
彼女はそう言った。
最後の言葉が嬉しくて、照れる顔を隠すことに必死だった。
懐かしい思い出。
佐倉はまだ思ってくれてるだろうか。
——俺の隣にいたいって。