【完】音にならない“好き”をキミだけに。
冬だからあの時に比べると、日が落ちるのが早くて、佐倉が教室に戻ってくる頃にはもう既に外は薄暗くなっていた。
「長くなってごめんね!」
廊下から響いたパタパタとスリッパのなる音が大きくなったなぁと思ったのとほぼ同時に開いた教室のドア。
焦ったように佐倉が入ってきた。
「全然いいよ。話しは大丈夫だった?」
「大丈夫だったよ!本当にごめんね」
申し訳なさそうに謝る佐倉が可愛い。
そんな気にしなくていいのに。
佐倉を待ってる時間なんて、俺にとってはこれっぽっちも苦じゃなくて、むしろ嬉しいんだから。