戦国ゴーストと妖退治
「邪魔するな!」
瀬名くんが、男と掴み合いになりながら叫ぶ。
邪魔するなって、信長さまに言ってるの?
なに考えてるの!?
「お前らなんかの助けがなくても、俺は一人で戦える!」
「バカな事言ってんじゃないわよ!」
男から妖だって祓えないくせに!
男にはまだ妖が憑りついていて、ナイフを手放そうとしない。
瀬名くんは男の懐に入るところまでは成功しているけど、その手からナイフを奪う事が出来ずにいる。
そんな二人を前に、信長さまが立ち止まった。
え・・・?
「な、なにしてるんですか!信長さま!」
「こやつの大口が、どれ程本当なのか、見てやるのも手かと思ってな」
「なに言ってるんですか!早く助けてください!」
こんな時に、なにを言ってるの!?
普段ボーッとして何事にも面倒臭そうで、投げやりな瀬名くん。
そんな瀬名くんが、妖との戦いの時だけは躍起になる。
確かにいつもの瀬名くんは強いし、一人でだって戦えるのかもしれないけど。
今は武器である刀を持ってないのよ。
それに、いつもみたいに霊体にならない。
なんで・・・?
「とにかく!無茶な事言わないで!」
一際大きく抵抗を示した男が瀬名くんの身体を突き飛ばした。