戦国ゴーストと妖退治
「そのハンカチを貸してくれた男の子は、親切で優しくて、笑顔が素敵な人だった。見ず知らずの私にハンカチを差し出してくれるような・・・」
「それが、こやつだったとはな・・・」
隣でしみじみと信長さまが呟く。
「だから、私このハンカチが瀬名くんのってわかって、でも、なんだかピンと来なくて・・・。私の記憶の中の彼と、少し違う気がしたから・・・。あ、あの、別に瀬名くんの事悪く言ってるわけじゃないよ?」
「中学の入学式のあたりって言ってたよな」
「・・・うん」
「その頃、・・・その頃以前の俺は、たぶん、そうだったんだろう。どんなふうに笑ってたとか、どんなふうだったとか、もう今になっては覚えてないけど」
そうだったって・・・。
じゃあ、その頃は普通に笑ったり、そういう事もしてたってこと?
「そのハンカチを貸した時の事、正直あんま覚えてない。でも、たぶんその後すぐ、俺の世界が色を変えた」
「え・・・」
瀬名くんの表情は暗く。
どこか、絶望に満ちたような、深く暗い闇を見ているような、そんな瞳だった。