戦国ゴーストと妖退治
「母さん!母さん、いる!?」
俺は慌てて中に入った。
リビングに抜ける扉の小窓の向こうに赤々とした炎が見えた。
母さんは、中にいるのか。
いるなら助けて一緒に逃げないと。
あれだけ燃えてたら気づいてもう逃げてるか?
頭の中でぐるぐるといろんなことを考えた。
リビングに入る扉を思い切ってあけた。
その先に見えたのは、きっと地獄だ。
そう。
地獄がそこにあった。
見知らぬ小汚い格好の男。
その男の右手には赤く濡れたナイフが握られていて。
そのナイフからは、ポタポタと赤い何かが滴っていた。
床には、母親が血塗られた姿で倒れていた。
血。
ああ、あの赤は、血だったのか。
その向こうには炎がごうごうと音を立て燃え盛っていた。
どれくらいの時間だったろうか。
まるで、時が止まったみたいに。
その光景が、目に焼き付く。