戦国ゴーストと妖退治


声がする方へ走ると、そこは人だかりができていた。
人をかき分けて中に進むと、そこにいたのは案の定瀬名くんで。


瀬名くんの目の前に倒れこんでいるのは、水原先生だった。




「答えろ!お前を唆してんのは誰だ!どこにいる!」

「・・・こういう荒っぽいのは苦手なんだけどな」



水原先生は、殴られたのか頬を抑えながらも、落ち着いた様子で身体を起こす。
その姿が余計に瀬名くんの苛立ちを助長させている。



「場合に寄ったら、手を貸してるお前も同じだ!あいつもろともお前も俺がぶっとばしてやる」

「瀬名くん!」




やっぱり、妖の事を追及してるんだ。
瀬名くんには言うべきじゃなかったのかも。


瀬名くんは、その妖の事を恨んでいて、仇だと憎んでいて。



確証も持てないうちに話すべきじゃなかった。




瀬名くんは、怒りに肩を震わせ、険しい顔で水原先生を睨みつけていた。
何事にも無関心な瀬名くんの、あんな感情的な姿をきっと誰もが初めて見ただろう。



何人かクラスメイトが野次馬の中に混じっているけど、驚いたように固まっている。




だめだよ、瀬名くん。
こんな事・・・。
こんなことしたって、なにもわからない。


こんな風に、瀬名くんの評判を落とすだけだよ。



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