戦国ゴーストと妖退治
「あんな風に問い詰めたって、無駄なことくらいわかってたんだ」
「・・・」
「でも、抑えられなかった」
私だって、水原先生の事は許せない。
水原先生がしようとしてることも、それを妖の手を借りてなんて・・・。
瀬名くんの事を想ったら、余計に許せない。
でも、一緒になって憤ったり、許せないって恨みを抱くのは違うと思うから。
私がしなくちゃいけないことは。
瀬名くんの想いに寄り添う事。
瀬名くんが、復讐だけに捕らわれずに生きる未来が来るように、できることをすること。
妖を追う事を止めることはできない。
でも、復讐だけに生きるのはやっぱり悲しいと思うから。
私にできることをしたい。
「瀬名くんのお父さん、心配してたよ」
「・・・あいつは外面がいいから」
「違うよ、本当に瀬名くんの事を」
「あいつは、一番大事な時に側にいなかった!・・・俺たち家族を捨てた奴だ」
声を荒げる瀬名くんに、胸が苦しくなる。
瀬名くんの家の事情は私にはわからない。
私はお父さんと数えるほどしか会っていないし。
確かに、外面がいいと言われたら私に否定することはできない。
でも・・・。
私には本当に心配してるように見えた。
「・・・それに、あいつは俺を、信じてくれなかった・・・」
「え・・・?」
消え入りそうな声で、瀬名くんが呟いた。