戦国ゴーストと妖退治
「暴れないほうが身のためですよ」
恐怖に逃げようと身を捩る私に投げかけられた冷たい声。
「もう放課後です。この校舎は人はほとんどいませんから。叫んだところで無駄ですし」
「こんな事、やめてください。妖と手を組むのだって!」
「僕が、僕の利のためになにを利用しようと構わないでしょう」
「もしかしたらその妖は、瀬名くんのお母さんを殺した妖かもしれないんです!信長さまのことだって!」
こんな事を言ったところで、きっと意味はないんだ。
それでも、なにか水原先生の心に刺さる“なにか”を。
「へぇ。あの織田信長も、妖に殺されたんですか。史実というのも、あてにはなりませんね」
先生の関心は、違う方へとそれ、おかしそうに笑う。
何が面白いわけ。
「僕は、知りたいんです。妖の事を。妖の生体。そして、あなたのその力の事も」
「なんのために・・・」
「なんの、・・・?」
私の絶望的な呟きに、水原先生はピクッと反応した。