戦国ゴーストと妖退治


「お前らのが先輩だからな。いろいろ参考に聞かせてもらうよ」

「ははっ。じゃあ、夾くんに聞いてもらった方がいいかな」

「俺は別に。普通だし」




そういう、私たち。
私と夾くんは、私が短大を卒業し就職した後、夾くんが大学を卒業するのを待って結婚した。


付き合うまで、言いあいやケンカの多かった私たちだけど、付き合い始めてからは逆にケンカは少なく怖いぐらいに順調にここまでやってきた。
人並みのケンカは大いにして来たけれど。




「そういえば、水原先生は?今日、会えたらよかったのに」

「ああ。あいつも今はいろいろ忙しいみたいだしな」

「・・・記憶は?」

「いや、なにも」

「そっか」

「まぁ、あいつはその方が幸せかもしれないしな」




水原先生は・・・。
あの妖気を自分に注入したことで信長さまを見送った後意識を失った。
私の浄化の力で何とか体内の妖気を浄化することに成功したけれど・・・。



明智光秀の生まれ変わりだということだけではなく、それまであった妖関係の事を全て忘れてしまっていた。
目を覚ました水原先生は、一教師の水原先生になっていたのだ。



水原先生のことを思えば、すべてを忘れて生きられるということはきっと幸せなことなのだろうと思う。
でも、“明智光秀”としての彼にとっては、せっかく信長さまとのわだかまりも解けたというのに・・・。



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