紫色の水溜まり。



上履きから靴に履き替え、私は降り続ける雨を、静かに見ていた。天気予報は曇りだった。雨が降るなんて聞いていない。

『...天気予報の嘘つき』


そう呟いた私の横に、影が落ちた。

視線を向けた先には


『一緒に入ってく?』

と、片手に傘を持った彼が笑顔で立っていた。


いつもの私だったら、彼のそんな笑顔を、苦笑いで交わしていた。なのに、今日は違った。きっと、それは天気のせい。私は雨が嫌いだから。だから、少しおかしかった。



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