紫色の水溜まり。
私は彼に
『いいの?』
と、聞いていて、彼はそんな私に
『もちろん』
と、また屈託なく笑って、傘をひらいた。
二人で入った傘は、思いのほか狭くて。歩き始めれば、彼は私に歩幅を合わせてくれているようで、ゆっくりだった。
クラスメイトの彼...七瀬くんは、皆の輪の中心にいるような人。彼が居る所には、自然と人が寄ってくるような、何か人を惹き付けるものが、きっとあるのだろう。
けれど、横を歩く彼は、どこか普段と違った。