紫色の水溜まり。



私は彼に

『いいの?』

と、聞いていて、彼はそんな私に

『もちろん』

と、また屈託なく笑って、傘をひらいた。

二人で入った傘は、思いのほか狭くて。歩き始めれば、彼は私に歩幅を合わせてくれているようで、ゆっくりだった。


クラスメイトの彼...七瀬くんは、皆の輪の中心にいるような人。彼が居る所には、自然と人が寄ってくるような、何か人を惹き付けるものが、きっとあるのだろう。


けれど、横を歩く彼は、どこか普段と違った。



< 3 / 18 >

この作品をシェア

pagetop