紫色の水溜まり。



「....僕さ、この街、出ようと思うんだ」

そう落ち着いた声色で彼は言った。
まるで、何てことないように、さらっと。


彼が、いなくなる。

「...そっか」


私の頭は思っていた程、賢くできてないらしい。


"行かないで"

"側にいたい"

"一緒に付いていく"


そんな想いは、ひとつも言葉とはならない。



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