紫色の水溜まり。
「...それって、どういう」
そう言い掛けたのに、彼が私を見つめて微笑むから、それ以上言葉を紡ぐことができなくなった。
押し黙った私を見て、彼は今度はカラカラと、楽しそうに笑った。
「...どうして、笑うの?」
そう言えば、"どうしてだろうね"とまた笑う。
「ああ、バス来たよ」
その言葉に、道路を見れば、確かにバスが見えて。横に居た彼は、いつの間にか立っていた。
"ほら"と言われて、私も立ち上がる。