夜まで待てない
幼馴染とルームシェア
「橋本、ここ間違ってるから今すぐにやり直してコピーしなおしてこい!」
「す、すみません、今すぐやり直してきます」
鬼上司である塚本部長に言われ、私はパソコンの前に座り打ち直しをした。
塚本部長は四十五歳の独身で、いつも会社では鬼のように怖い顔をしている。
長身だけど小太りで、仕事は真面目で皆にも厳しい。
鬼のように怖い顔と、お腹や顎に肉が付いてプヨプヨしている事から、鬼プヨと私達の間でアダ名を付けている。
入社して一年になるけど、鬼プヨは新人であろうと容赦なく、何度泣かされ残業漬けの日々を送ったかわからない。
そのせいで彼氏と会う時間もなく、別れてしまった。
「沖島、何だコレは!こんなんじゃ会議の資料に使えない。初めからやり直しだ!」
「は、はい!すみません」
鬼プヨの攻撃を受けると皆はダメージを受ける。
だが彼が居なくなるとうちの部署は回らないといってもいい。
だから部長がこうして怒鳴っても何も言えないのだ。
朝から怒鳴られ、パソコンの前から殆ど動かずに気がつけばお昼になっていた。
「優子、お昼行こ?」
「もうそんな時間?じゃあ行こうか」
私に声を掛けたのは同期で同じ部署の森下 日菜子(もりしたひなこ)。
私達は凄く気が合い、良き理解者でもある。
私は財布を持って日菜子と一緒にオフィスを出た。
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