夜まで待てない



そして歩きながら私はある事に気がついてしまった。


私の鞄は日菜子の家にあるって事はマンションに帰った所で鍵がないと入れない。


どうしよう…


だけど羽月に電話はしたくないし菜々子に来てもらうと彰さんにも迷惑かかるしな。


そんな事を考えていたら駅に着いてしまった。


私は悩んでしまい、駅前に立ち止まったまま考えていた。


「優子っ!」


そう言って私の肩を掴んだのは羽月だった。


「一人で勝手にどっか行くなよ!言いたい事だけ言ったら俺の話なんてどうでもいいのか?」


「別に聞くことなんてない…」


すると羽月は私の手を取り歩き出した。


「ちょ、ちょっと!」


だが羽月は手に力を込めて離してはくれない。


駅前に停まっていたタクシーに私を先に押し入れ、その後から羽月は座りマンションまで向かうように運転手に伝えた。


その間も私の手をギュッと握り離さず沈黙が続いた。


マンションに着いたら直に部屋に入ってしまおう!


羽月の話なんて聞きたくない。


美波と寄りを戻してるのに思わせぶりな発言は許せないし美波に対してもしてはいけない。


きっと私がさっき言った言葉を聞いたから言い訳するに違いない。


もう騙されないんだから!




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