夜まで待てない
こんな朝方から抱き締められるなんて誰が予想出来るだろうか?
ううん、誰も予想なんて出来ない。
「こんな朝方に起きてるなんてもう少し寝たら?」
そう言うしか出来なかった。
「ダメだ!そうやって優子は直ぐに逃げるだろ?」
図星をつかれて言い返せなかった。
「小さい時からずっと一緒に居て、気づいたら優子が好きだった。中学生の頃は思春期もあったし話すだけで精一杯な時期もあった。そんな時に優子に好きな奴が居ることを知って悔しくて、幼馴染って近いようで遠い存在なんだと思ったよ。俺の方が優子を誰よりも好きなのに、違う男が優子に触れると思うと苦しかった。」
切なそうに言う羽月の言葉に私も胸が苦しくなる。
一緒に居るのが当たり前だった幼少期。
羽月の事は好きだったけど友達以上の感情は大きくなってもなかった。
「優子は俺に気がないし、彼女でも作れば忘れられる…そう思って何人かと付き合ったけどキスしてもセックスしても優子に重ねてしまう自分が居た。だから俺は彼女を作っても優子以上に好きになれないと気づいてからは彼女を作らなかった。俺にとって優子は大切で、手放したくない存在で、やっと俺を好きになってくれてこんな嬉しいことはない。優子…絶対に離すつもりはないから。」
そう言った羽月は私を抱き締める腕に力を入れた。