夜まで待てない
私と日菜子は会社の近くにあるカフェにきて、ホットサンドとコーヒーを頼んだ。
「今日も鬼プヨは手加減なしだったよね。あんなだから独身のままなんだよ」
日菜子はそう言った。
「私も朝から怒鳴られて休憩にも行けなかった。もっと優しく言えばいいと思わない?」
「確かにね、入社して直ぐに本当に辞めようかと思ったくらいだし。だけど辞めて次を探すよりは我慢すれば慣れるかなと思って頑張った結果、本当に慣れちゃったしね。先輩とか慣れたら怒鳴られても気にしてないもんね」
「それは言えてる」
そんな会話をしながらホットサンドを食べながらコーヒーを飲んだ。
「そう言えば優子、一人暮らしするんだよね?」
「うん、実家から会社まで電車に乗って通ってるけど時間も掛かるし、会社の近くに住もうかと思ってる。それにお兄ちゃんも結婚して子供が生まれたから、来月にはうちの実家に同居する事になってる。奥さんの薫さんの両親は、早くに亡くなってるから頼る人も居ないのと、お兄ちゃんは仕事の帰りも遅いし、休日もたまには出勤してるから、お兄ちゃんが育児も家の両親に協力してもらった方がいい思って同居する事になったんだ。私も職場が遠いかったし一人暮らしをしたかったからタイミング的にも良かったよ」
薫さんはとても優しい人だし家の両親とも上手くやってる。それに生まれた赤ちゃんは女の子でめちゃ可愛いんだよね。
「じゃあもう部屋は探してるの?」
「明日に不動産屋に行くんだ」
「じゃあ引っ越したら遊びに行っていい?」
「勿論」
そんな会話をし、そろそろ会社に戻る時間になったからカフェを出た。