夜まで待てない




会社に着いた私は、白崎先輩の事なんか頭から忘れていた。


仕事に集中しているとスマホのバイブの振動が机の上でして、私はスマホを見てみると白崎先輩からのラインだった。


(また橋本さんの家に遊びに行っていい?
羽月くんに会いたい)


最後にはハートの絵文字まで入れていた。


そう言えば白崎先輩は羽月に心を奪われたんだっけ…


(暫くは無理!てか立入禁止!)


そう返事を送って何度かラインが来てたが全部シカトした。


お昼休憩になり、日菜子と一緒にお昼に行こうとしたら白崎先輩がやってきた。


「お二人さん!俺も一緒にお昼いい?
よかったら奢るよ?」


「え?本当ですか!?行きましょう!」


何も知らない日菜子は目を輝かせて頷いた。


どうせ私に羽月の予定とか何時ならいい?とか聞こうと思ってるんだきっと…。


三人で会社の外に出て、定食屋に行った。


「ここの定食屋さん美味しいんだよ!
好きなの食べてね!」


「はいっ!」


日菜子は遠慮なく返事をした。


私達は注文をし、私はテーブルに置かれたお水を飲んでいた。


「橋本さん、羽月くんって会社はこの近く?」


「ブハッ…」


日菜子の前で羽月の話をされて思わず咽た。


「ちょっと優子、何やってんの!」


「ご、ごめん…」


「もー橋本さんったら面白い人だね?
で、羽月くんの会社は近いの?」


まだ聞くかっ!?


「え?白崎先輩は羽月くん知ってるんですか?」


「うん!知ってるよ。羽月くんっていい男だよね!」


「ですよね!私もそう思いますよ!てか白崎先輩は羽月くんとどうやって知り合ったんですか?」


白崎先輩が答えようとする前に私が答えた。


「た、たまたま羽月と飲みに行っていて白崎先輩と会って一緒に飲んだんだ!ね、白崎先輩?」


私は白崎先輩の足をグイッと踏みつけながら言った。


「痛っ…う、うん…。」


「へぇー!優子も羽月くんと飲みに行ったり仲良くしてるんだし付き合えばいいのに!」


「本当にあんないい男なのに勿体無い!
俺なら即オーケイだよ!」


日菜子は笑っていたが白崎先輩は本気だ。


白崎先輩と日菜子は勝手に羽月の話でもりあがり、私は一人静に定食を食べた。




< 57 / 142 >

この作品をシェア

pagetop