夜まで待てない
「羽月、そろそろ帰るよ!」
だが羽月はかなり酔っ払っているのか目がトロンとしていた。
「かなり酔っ払ってるみたいだけど大丈夫?
てかお父さんはソファーで寝てるし!」
「大丈夫、だぞ!ハハッ」
何処が大丈夫なんだか…てかこんな酔っ払ってる羽月を見るのは初めてだ。
「おいっ!羽月しっかりしろ!」
そう言ってお兄ちゃんは羽月を立たせた。
お兄ちゃんはお酒が強くてまだ羽月よりはしっかりしている。
お父さんは酔いつぶれてるけどね。
何とか羽月を車に乗せた。
「じゃあ帰るからまたね!」
「おう!気をつけろよ!」
「またご飯を食べに来なさいね?」
「うん!」
お母さんとお兄ちゃんに見送られながら私は羽月の車を運転してマンションに帰った。
マンションの駐車場に着き車を停めて、どうにか羽月を抱えてエレベーターまで歩いた。
フラフラしながら羽月は歩いてるし男の人が酔うと大変だ。
エレベーターを降りて部屋の前に着いて中へ入いった。
「羽月、靴を脱いで。」
私は先に靴を脱いで羽月の前に立ち羽月の体を支えながら言った。
羽月は靴を脱いだが、全体重が私にかかり支えていた筈の私は一緒に倒れ込んでしまった。
「痛ったぁ…」
「ごめんね優子、大丈夫?」
子供の様な言い方でトロンとした目で見つめられながら言われて私はドキドキしてしまった。
「だ、大丈夫だから私の体から降りて?」
「ヤダ!本当に優子は可愛いな?好きだよ優子…」
そう言って羽月は私の唇にキスをした。
「…っ!!」
羽月は蝕むように私の唇にキスをして、差し込まれた舌は私の舌を見つけると絡ませた。
羽月は私の手に自分の指を絡めてきた。
お酒を飲んでいないのに私はそのキスに酔いしれたように自らも羽月の舌を絡めていた。
だが途中で羽月の舌の動きが止まり、体がゴロンと横に転がった。
それにハッとした私は羽月とのキスに酔いしれた事に気づいた。
私ったら何してるんだろ…
私は立ち上がり、羽月は今にでも寝そうな感じだった。
「羽月、ベッドで寝なきゃダメだよ…」
そう言ってどうにか羽月を立たせてベッドに連れて行った。