ティアラ
「大丈夫だよ。明後日までに犯人が誰か探しておくし、明日は学校が休みなんだから、もうこんなことはないよ」

口数が少なくなっているあたしを安心させようと、直子は背中を優しくなでてくる。

「うん」とうなずくあたしは、気持ちを落ち着かせようと深呼吸をした。

「でもさ、かっこよかったよね、太一。美和を守ろうとしてさ」

駅まで歩く中、直子は空を見上げてつぶやく。

「うん、さすが陸上部。瞬発力があるっていうか」

素早く守ってくれた彼。

太一がいなかったら、今頃、あたしはどうなっていたのか。
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