ティアラ
父親の工具箱を持参していたあたしは、深町の自転車のペダルをドライバーで外し、そのペダルをモカのうんちが入っているビニール袋に突っ込んだ。

ペダルを刷毛がわりにして、カゴからタイヤまで自転車の隅々にうんちを塗りたくるあたしは、もう復讐の鬼。

「ざまーみろ!」

鼻で笑いながら、手にしていたペダルをカゴの中に放り込む。

真っ茶色になった自転車から、臭い匂いがプンプン漂ってくる。

勝手に店の外にある水道を使って手を洗っていたあたしは、自転車のそばに置いていた工具箱を持って、家に帰ろうとした。

そのとき、突然、周囲がピカッと光る。

「ん?」

今のは……カメラのフラッシュ、だよね?

……誰かいるの?
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