ティアラ
草木に隠れるあたしは、かけていた望遠鏡を首から外して、サングラスを取る。

「……さわやか好青年ってやつですか」

小学生くらいの男の子たちから人気があるのだろうか?

彼は周りを囲む彼らにサッカーを教えている。

「できるようになったんだな」

頭や胸、つま先などでボールを自由自在に動かす男の子を、満面の笑みでほめる深町。

男の子の髪の毛をくしゃくしゃにしながら、新しい技も教えようとしている。

「つまんなーい」

てっきり変な趣味でも持ってるんじゃないかなと思い込んでいたあたしは、普通にサッカーをしている彼を見て、早起きなんかするんじゃなかったとつぶやいた。
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