ティアラ
眼鏡のフレームを選んでいる彼を、クスクス笑いながら眺めるあたし。

あたしがここにいることにも気づかず、のんきに店員とお喋りまでして馬鹿な男だ。

ニヤニヤしながらドアの外にいたあたしは、突然、誰かに肩を叩かれた。

ビクッと体を震わせるあたしは、素早く後ろを振り返る。

「やっぱり美和か! こんなところで何してんだよ? てか、何? その格好……」

店の中にまで聞こえるような大きい声で話しかけてきたのは、太一。

慌てて彼の口を手で覆い、壁に隠れる。

もごもご喋る太一を黙らせようと、口に3本の指を突っ込んだ。
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