ティアラ
「まぁ、いいよ。あの本を借りた男はそいつだったの!!」

思い出さないあたしにため息をつきながら、直子は話を進めていく。

「ふーん」と頷くあたしは、直子に自分の推理を話した。

本を投げたのはその森本って人なのかもしれないけれど、そんな嫌がらせをするように依頼したのはきっと深町なのだと。

太一から聞いていたのだろう。

すべて話す前に、直子は「そのことは聞いてる」と言って、あたしの話をさえぎってきた。

電話に集中していたことで、深町を見失っていたことに気がついたあたしは、「あ……」とつぶやきながら慌てる。

「美和、今から言うことをちゃんと聞いてね」

「何? その森本って男の話なら、明日……」
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