ティアラ

ヒーローは最低男

「本を借りた人間がわかったときに、ちょうど太一から電話がかかってきたの。

その電話で、あの本を借りた男と太一の見かけた男が一致したの。

……そして今、その森本があんたのすぐ近くにいるかもしれないのよ!!

……ねぇ、ちゃんと聞いてる!?」

静かになるあたしに、直子は大きな声で問いかけてくる。

「うん」と答えるだけのあたしは、恐くて今の状況を話すこともできなかった。

3メートルくらい離れた場所からにんまり微笑む森本は、電話中のあたしにあるものを見せてきた。

……何十枚もの写真。

そこに映っているのは、深町に仕返しをしているあたしの姿だった。

森本は何も喋らず、ニヤニヤ笑うだけ。
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