ティアラ
背後から話しかけられたせいか、妙に恥ずかしかった。

「でも、ぐちゃぐちゃ」

せっかく作ったのに、としょんぼりするあたし。

すると、突然、背中をさすっていた手が離れる。

バスケットの中に手を伸ばす彼。

「あ!」と思った瞬間、あたしの手はバスケットの蓋を下ろしていた。

「……ってぇな!!」

挟まれた手を引きながら、深町は苛立つ声を上げている。

「ぐちゃぐちゃだから、食べられたくないの!」
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