ティアラ
挟んだことは謝らず、慌てて言い訳をしてしまった。

……妙な気分。

からし入りのサンドウィッチを食べさせるいい機会なのに、「今日はもうそういうことをするのはやめておこう」と思ってしまう。

背中をさすってもらってるのに、食べさせるのも悪いなって……。

「どうせ、変なものが入ってんだろ?」

手を痛がってたくせに、また背中をなでてくれる。

「入れてないわよ」

嘘をつきながら口を尖らすあたしは、妙な胸のざわめきが気になって仕方ない。

ドクドクドク……と鳴る、心臓。

これが俗に言う「ドキドキ」だということはわかっていた。

でも、その相手が深町だとは思いたくなくて、困ったあたしはバスケットの持ち手をギュッと握りしめる。
< 196 / 555 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop