ティアラ

必要な存在

「百瀬さん、今度の日曜、新しくできた水族館へ行かない?」

次の日の放課後、同じクラスの男子からデートに誘われた。

「ごめんなさい。……日曜日は予定が入っていて」

見た目もそこそこ良くて、並んで歩いても恥ずかしい相手じゃない。

普段のあたしなら「別にいいかな」と思って、OKの返事を出しているだろう。

だけど、今日のあたしはそんな気分にはなれなくて、適当な嘘をつき、その誘いを断っている。

「そっかぁ……」

残念そうにうつむく彼に頭を下げて、その場から逃げていく。

机に置いてある鞄を持って廊下へ出ると、直子が待ってくれていた。
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