ティアラ
「行ってやってもいいわよ」

家から持ってきていたタオルを差し出して、ひねくれた返事をする。

彼は何も言わず、それを受け取り、濡れた部分を拭いていく。


何も話さず、ファミレスまで歩いた。

だけど、そこにある沈黙に気まずさなんてひとつもなくて……。

あたしはそっと、隣に並ぶ深町の横顔を見上げていた。

「美和先輩!?」

久しぶりにあのファミレスへ訪れると、突然、誰かがあたしの名前を呼んだ。

振り返ると、そこには美緒ちゃんと弥生ちゃんが、驚いた表情で立っていた。
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