ティアラ
その後、あたしたちは電車に乗り、1時間後には水族館の前に到着していた。

「思ってたより混んでる」

スケールが大きいとTVのCMで宣伝していたり、雑誌でも特集に載っていたから、ある程度の予想はしていたけれど、休日ということもあってか今日は子供連れの家族も多く、入場券を買うのにも一苦労。

「は? あたしのぶんは?」

列には並ばず、日当たりのいい場所で待っていたあたしは、戻ってきた深町にしかめっ面で問いかける。

「どうして、お前のぶんも買わなきゃいけねぇの?」

てっきり買ってくれると思っていたのに、深町は自分の入場券しか持っていない。
< 295 / 555 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop