ティアラ
「このケチ!!」

本当、どうしようもない男ね。

ブツブツ文句を言いながら、あたしはさっきよりも長くなっている列の後ろへ向かった。

やっとのことで館内に入ったあたしたち。

さすが「日本最大」と宣伝しているだけあって、中は人混みを気にさせないほどの広さだった。

「あ、あの魚、あたしみたい!」

水槽の中を優雅に舞う、ピンク色の魚。

大きさは5センチくらいで小さいけれど、透きとおった水の中に映える美しい色は自分のように思えた。
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