ティアラ
体中に走る、衝撃。

顔を真っ赤にしたあたしは、掴んでいた服をパッと放した。

「さぁ、帰ろうぜ。全部、回っただろ」

彼はしわになった服を直しながら、出口へと歩いていく。

立ち止まったままのあたしは、火照った頬に手を当てた。

「ちゃんとわかってるじゃない」

……可愛いって言われた。

その辺のタレントより綺麗だって言われた。

そんな言葉は普段から言われてることだし、自分でもよくわかってるけれど。

聞き飽きた台詞なのに、深町の口から聞けるなんて思ってなかったから、思わず赤面してしまった。
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