ティアラ
んもう、ひねくれた態度ばっかり取ってないで、最初から素直に言えばいいのに。

「わかってるなら、いいのよ」

上機嫌になって、彼の隣に並んで鼻歌を鳴らす。

「お前、自分の都合のいいところしか聞いてないだろ?」とつぶやかれたけど、何のことかわからなくて、あたしは首を傾げた。

すると、彼は顔をクシャッと崩し……。

「ある意味、無敵だよ」

あたしの頭に手を置いた。

ドキンッと跳ね上がる心臓。

「もう4時じゃん」

腕時計を見ながらつぶやく彼の後ろ姿を、目で追う。

……何、これ。

胸に手を置いて、速くなった鼓動を落ち着かせようとしているのに、なかなか元に戻らない。
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