可愛くなんて、なれない!
「全く冗談じゃない。素のマーヤをみんなに知られたら困るのに、ふざけた身内のせいでマーヤが参加する事になったからな。悪いけど、お前ごときにマーヤを譲る気はサラサラないから。ほら、飯田、そこをどけ。」


シッシッとやられて、理枝が席をたつ。


空席になった所に、主任がドカッと座った。


「ちよっ、主任それは横暴ですよ‼」


「うるさい。飯田は俺がいた所にでも行け。拓海や秀和がいるから良いだろ。」


腕を組んで、ふんぞり返る主任を見て、理枝は笑いながら。


「本当に今回の旅行は楽しめそうです(笑)」
と言って、前にズレていった。


「上原は前を向け。現地に着くまで絶対に後ろを見るな。これは命令だ。」


シッシッと手をふられると。


「マジでありえねぇ……。」


ブツブツ言いながら、前を向く上原。


そんな事は露知らず、気持ち良さそうに寝ているマーヤを見つめながら。


「早く明日になんねぇかな……。」
とぼやく伊織だった。
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