あなたに恋をしたらダメですか?
すぐに良いと言ってくれると思ってたんだけど、意外にもお姉ちゃんは悩んでるようだった。


「ねぇ、咲世」
「…はい」
「まだエッチしてないの?」
「なっ、何を急に!!」


私は温泉旅行の話をしてるのに、突然、え…え…エッチ、だなんて…!


「その様子だと、してないんだね?」
「……してない、よ。キスもしてないもん(付き合ってからは、だけど…)」
「えぇっ?!それ本気で言ってる?」
「言ってるよー!毎回おでこにしてくれる」
「あー」


なにが〝あー〟なのか分からないけど、やっぱり一ヶ月付き合って何もないって、私、陽悟さんにどう思われてるのかなぁ…。


「きっと、大事にされてるのね」
「だい、じ…?」
「そりゃー、そうでしょう。一ヶ月もキスすらないなんて、付き合いたてなのにあり得ない」
「………」


あり得ないとか言われると落ち込むけど、大事にされてるって思うと嬉しくなる。


「ははぁん、だから温泉旅行ねぇ」
「え、何?お姉ちゃん、だから温泉旅行って…」


私が聞くと、お姉ちゃんはイタズラっぽい笑顔で私を見た。


「だーかーらー!その温泉旅行で全部もらうつもりなんじゃないの、ってこと!」
「ぜっ、んぶ、って……」


何か私、悪魔に食べられる子みたい…怖いんだけど…。


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