あなたに恋をしたらダメですか?
「つまり、そういうことよ。温泉旅行ってことは、キス以上のこともあるかもしれないってこと。咲世にその覚悟があるなら、お姉ちゃんは止めないよ」
「………」


キス以上のことがあるかも…。そっか、そうだよね…。泊まるんだもんね…。


同じお布団で寝るんだもんね…。別々の部屋なわけないもんね…。


「ともくんのことは何とかするから、咲世が行きたいなら行ってきなさい?咲世、今月誕生日だから、どうせその日にでも行くんでしょ?」
「……さすがお姉ちゃん」
「そりゃあ、30歳ですから」


ぷっ、とお姉ちゃんが笑うと、自然と私まで笑えてきて、二人でクスクスと笑った。


「でも、お姉ちゃん。一ヶ月も、そういうことがないのは陽悟さん可哀想…?」
「え?んー、可哀想かどうかは分からないけど、でも咲世と付き合う前は遊んでたんでしょ?」
「うん…たくさんいたみたい……」
「なら、彼の場合は相当我慢してるんじゃないの?」
「………」


我慢……してるのかな。結果として、私は陽悟さんを苦しませてるのかな…。


「でもね咲世。そんな遊んでた彼が身体を求めてこないのって、すごいことじゃない?さっきも言ったけど、大事にされてる証拠だから咲世は無理に合わせなくていいの」
「……うん」
「無理にエッチしたって、お互い気持ち良くないだけよ」
「そう、なの…?」
「そうそう。だから、彼が可哀想とか思ってヤるのだけはダメ」


そっかぁ。私にも気持ちがないと、意味がないのかな…。


そんな会話をしていると「まだ話終わんないの…?」と智明さんの声がして、お姉ちゃんと顔を見合わせて部屋を出ることにした。


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