あなたに恋をしたらダメですか?
「陽悟さん?どうかした?」


わざと知らない振りをすると、ハッとしたのか「そんな技どこで覚えたの」と、前からギュっと抱きしめられた。


つい嬉しくなって、私も陽悟さんの身体をギュっと抱きしめた。


「私、魅力的?」
「うん。今すぐにでも抱きたいくらい」
「っ、」


聞かなきゃ良かった…。息、止まるかと思った…。


アッサリ、ハッキリ言うなんて…。ビックリするよ…。


「お、お、温泉入りに行こっ?」
「どもり過ぎ」
「………」
「嘘、行こう」


陽悟さんは、いつものように私の腰を抱いて歩き始めた。


「じゃあ、後でね?」
「うん、後で…」
「ナンパされないように」
「それは陽悟さんだよ…」


私より陽悟さんがされるんじゃないかって心配…。そんな気持ちのまま、男湯女湯に別れた。


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