あなたに恋をしたらダメですか?
「ごめんごめん、そんな落ち込まないで?可愛いなと思って言っただけだから。ね?」


ね?って言われても…。でも、そんな寂しそうな顔で言われると、許したくなるな…。


でも普通に許したんじゃ、彼の思うつぼだ。


「じゃあ、下の名前教えてくれたら許してあげます」
「下の名前?」
「はい。仲村なにさんって言うんですか?」


自分でも大胆だと思った。けれど、こんなとこ毎日なんて来れないし、次いつ会えるかなんて分からないもの。


攻める時に攻めないと、きっと後悔しちゃう。


「んー、知りたい?」
「……はい、知りたいです」


仲村さんは一度考えると、クスッと笑って、そして私の耳元に唇を寄せてきた。


「特別だよ?」
「……っ、」


少し小声で、囁くように言うもんだから、肩がピクッと反応してしまった。


< 12 / 122 >

この作品をシェア

pagetop