あなたに恋をしたらダメですか?
「お疲れ様。はい、今日のラテアート」
「わぁ!かわいい!もうすぐ、こどもの日ですもんね!」
「うん、そう。こいのぼりって、すぐに分かった?」
「もちろんです!」
「良かったぁ」


未知子さんはお店を閉めると、私に必ず作ってくれるのが、このラテアート。


毎日の楽しみで、今日は、こいのぼりを作ってくれた。未知子さんは謙遜して「へたくそだよ」と言うけれど、全然そんなことない。立派な職人さんなのだ。


「あ〜、ごちそうさまでした!やっぱり未知子さんのハニーラテは格別です!」
「また、そうやって持ち上げて!なにも出ないよ?」
「そんなんで言ってませんってば!」


ハニーラテって、未知子さんが淹れてくれるのしか飲んだことがないのだけれど、ほんのり甘くて優しい味がするんだよね。


だからお客様に「なにがオススメですか?」と聞かれたら、必ずハニーラテと答えちゃうの。


「お母さーん」
「あ、勇太。どうしたぁ?」


ハニーラテを飲み終わったその時、勇太くんが奥の部屋から、ヒョコっと顔を出してきた。


「ここ、わかんないの」
「どれー?あ、算数かぁ。これはねぇ…」


未知子さんはシングルマザーだけど、勇太くんと二人、とても毎日楽しそうで、こちらも見ていて微笑ましくなっちゃうんだよね。


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