あなたに恋をしたらダメですか?
「あのね、私、一目惚れしたみたい…」


勇気を振り絞って言ったのに、お姉ちゃんも智明さんにも、まったく反応がなくて、伏せてた顔をゆっくり上げると、二人とも固まっていた。


「あのぉ……」
「あっ、ごめん!あまりにも突然だったから!って、咲世!やっと恋したのー!」
「ちょ、お姉ちゃん!」


私に抱きついてきたお姉ちゃんは、すごく嬉しそうで、やっぱり話して良かったなって思ったりして…。


こんな風にお姉ちゃんと恋バナまではいかないけど、私がこんな話をするのは初めてだったから、相当嬉しかったのかもしれない。


「良かったな、吏世(りよ)」
「うん、安心したよ〜!で、相手はどんな人?ん?ん?」


智明さんもニコニコして、お姉ちゃんは頷きながらも、私の一目惚れ相手のことを聞いてきた。


問題はソコなんだよねぇ。これが誠実な人ならペラペラ言えるんだけど…。


「う、うん…。まだあまり詳しくは言いたくないんだけど…。あるところの店員さんなんだけどね…」
「うんうん!」
「すごく優しくて、格好良くて、お話するだけで、ドキドキするの」
「へぇ〜!お姉ちゃんも見てみたいなぁ!」


ここまでは好印象だ。問題は、次なんだよなぁ…。言ったら、どんな顔しちゃうかなぁ…。


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